モノローグがないのに、恋愛心理戦がえぐい。『ウェディング・ブルーズ』感想

ウェディング・ブルーズ(ブレッド)レビュー記事のアイキャッチ画像 レビュー

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『ウェディング・ブルーズ』を読んで、久しぶりに「これは感情の発生を観測する漫画だ」と思いました。

この作品のすごいところは、モノローグでキャラクターの内心を説明しないことです。恋愛心理戦の密度は高いのに、本人たちが何を考えているかは読者に明かされない。だからこそ、視線や沈黙、返事の遅さ、言葉の選び方から「今、何かが動いた」と読み取るしかない。

どちらも嫉妬深くて、相手に執着している。でも、その感情をうまく扱えないし、素直にもなれない。そのせいで関係が拗れていく姿が、苦しくて、かわいくて、ずっとドキドキしました。

まだ名前のついていない感情が行動に滲む場面が好きな人には、かなり刺さる作品だと思います。

作品情報

タイトルウェディング・ブルーズ
作者ブレッド
レーベルふゅーじょんぷろだくと(POE BACKS BABY COMICS)
巻数1冊完結(電子は分冊版全6話あり)
ジャンルBL/幼なじみ/再会/心理戦

幼なじみの純に片思いしていた明希は、純の海外赴任を祝う夜、酒の勢いでキスをしてしまう。数年後、明希は別の女性との結婚式を迎える——その新郎控室に、あの日以来会っていなかった純が現れる。

1冊完結なので、気になったらここで表紙だけでも見てみてください。モノローグがない、という手触りは試し読みの数ページで分かります。

モノローグがない、という選択

漫画なのに、モノローグがありません。キャラクターの内面が、地の文で直接説明されない。

普通、恋愛心理戦を描く作品は「(今のは牽制か……?)」みたいな内心実況で緊張感を作ります。『かぐや様は告らせたい』がまさにそうで、あれは読者が二人の思考を全部見せてもらえるからこそ面白い。

『ウェディング・ブルーズ』は、その実況を全部捨てています。淡々と場面が進むだけ。なのに、心理戦の密度は落ちない。むしろ上がっている。

「今、何かが動いた」を読者が先に観測する

内心が説明されないぶん、読者側が考察班になります。

  • 今、何を考えた?
  • これは牽制? 照れ隠し? それとも本音?
  • なんでここで一拍置いた?

キャラクターたちが何を考えているのかは、はっきりとは分からない。それなのに「今、絶対に何かが動いた」と分かる瞬間が何度もある。この、本人が自覚するより先に読者が感情の発生を観測してしまう感じが、この作品の一番の発明だと思っています。

結果、ずっと”告白直前”みたいなドキドキが続きます。

嫉妬と執着が、初めての感情になる

いちばん刺さったのは、恋愛感情を素直に認めきれていない人たちの拗れ方です。

どちらも嫉妬深くて、相手に執着している。なのに、全然素直になれない。扱い方を知らない感情を渡されて、持て余したまま関係をねじってしまう。

説明されないぶん、こちらが勝手に読み取ってしまうぶん、涙が出てきました。

絶対に読んでほしいので、リンクを置いておきます。

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最初から最後まで、何度も逆転する

そしてこの作品、逆転が一度きりじゃありません。

関係性の力学も、どちらが追う側でどちらが追われる側かも、何度もひっくり返る。序盤に見えていた構図が、後半ではまったく違う意味に見えてくる。最初から最後まで、いくつも逆転がある。

1冊なのに、読み終わったあとに最初から読み返したくなるタイプの作品でした。

こんな人におすすめ

  • まだ言語化されていない感情が、行動に滲む場面が好きな人
  • 嫉妬・執着を読みたい人
  • 心理戦BLが好きだけど、内心実況なしの余白がほしい人
  • 幼なじみ/再会もの/関係性の逆転が好きな人

逆に、キャラの気持ちがはっきり言葉で示されないと落ち着かないタイプの人には、少し不親切に感じるかもしれません。でもその不親切さこそが、この作品の設計です。

まとめ

『ウェディング・ブルーズ』は、恋愛心理戦を「説明しない」ことで成立させた作品です。

視線、沈黙、言葉選び、返事までの間。それしか手がかりがないのに、感情が動いた瞬間だけは確実に伝わってくる。そして本人たちは、その感情をうまく扱えないまま拗れていく。

読者が先に気づいてしまうから、苦しい。ずっとドキドキしていました。1冊完結なので、一気に読めます。

1冊完結。電子でも紙でも読めます。

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